2010年10月31日日曜日

【宣伝】 Transformers Prime TV series

さて、今週も休みを利用してのブログ更新です。今回は僕が現在PPIで携わっている作品のご紹介をさせて頂きます。

僕が現在携わっているプロジェクトは、アメリカのケーブルテレビで11月29日から放送される
「Transformers Prime」というテレビシリーズです。

Transformers Prime - Series Sneak Peak
http://www.ign.com/videos/2010/10/29/transformers-prime-tv-spot

Transformers Prime - Teaser
http://www.ign.com/videos/2010/07/21/transformers-prime-tv-teaser?objectid=80393

トランスフォーマーはアメリカでは絶大な人気を誇るシリーズ物で、特に玩具や映画など様々なコンテンツに展開されています。

そして、今回PPIで制作されているのはフル3Dのアニメーションで作られた全20話以上の約30分のテレビシリーズです。
特に見所は一話あたりのショット数です!!!一話に約250ショット~300ショットにも及ぶ大量のシーケンスが存在する事です!
だいたい5話でフル3Dのアニメーション映画1本分のボリュームに相当します。
(世界で作られているフル3Dアニメーション映画の尺は100分、1500ショットが平均的です。)

第二の見所は!今回のトランスフォーマーの展開がロードムービーであると言う事です。
毎話、毎話まったく違ったロケーションで話が進みます!街並みやジャングル、砂漠などなど。
その他にも色々な場所で物語が進みます。しかも、ほとんどのロケーションで使い回しをしません!!!!
本当に背景モデラー泣かせ甚だしいですね(笑

そのボリュウムをテレビシリーズとして実現させようと言うのが今回のプロジェクトです。もちろん、クオリティは映画クオリティには程遠いですが、世界的に放映されているフル3Dのアニメーションの中では郡を抜いて高いクオリティが出ています。

皆さんはCG、VFX=ハリウッド映画のようなハイクオリティ!っというイメージを持つかもしれませんが
必ずしもCG全てがハリウッド映画のようなハイクオリティではないと言うことです。
TVシリーズにはTVシリーズに見合った、予算に見合ったクオリティが存在します。
そういう意味では、今回のTransformers Primeに関して言えば、十二分にクオリティが出せた作品だと言えます。

もちろん、制作は現在も続いています。おそらく放映が始まれば、毎月映画を1本作るペースで制作を続けなければなりません。
毎月1500ショットのフル3Dのアニメーションを作成するのです。レイアウト、モデリング、セットアップ、アニメーション、ライティング、コンポ全ての作業を1ヶ月で行うのです!

CGを経験している人ならお解りだと思いますが、1ヶ月でフル3Dのアニメーション1500ショット、約2時間をそれ相応のクオリティで制作し続ける事が、どれだけ無謀な事かわかると思います。
もしかすると、物理的に不可能かもしれません。。。
しかし、今回はあえてそこに挑戦して行かなければならないのです。
(正直、全ての話数を無事に納品できるのか、めちゃくちゃ心配ですが。。。。)

これからプロジェクトは佳境に向かっていくと思いますが、パイプラインの整備と労働環境の充実と言う相反する課題も同時にこなして行かなければなりません。
僕自身は、非常にやりがいを感じているし、毎日充実した仕事が出来ています。

もちろん、問題や不満も無いわけではないです。特にクオリティと言う部分では、自分自身の中でストレスを感じながら作業しています。
もっと出来る、もっとやりたい!と言う欲望を抑えて、時間と言う制約と戦うのです。しかし、それが仕事です。
仕事である以上、お金や時間的制約があるのは当たり前ですし、予算や納期を無視して仕事をすることは不可能なのです。

予算や納期、時間的制約を無視して、クオリティだけを純粋に追求できる仕事と言うのは、そう世の中に存在しません。
もし、それを仕事としてやろうとしている人は、プロフェッショナルではないと思います。プロフェッショナルな仕事と言うのは、限られた時間と予算で最高の仕事をするのが、僕の中でのプロフェッショナルです。
予算や納期を無視して、クオリティだけを追及するのはアマチュアや学生と同じです。趣味でCGをやっている人と同じです。

僕は今回のプロジェクトを通じて、僕はそういうプロフェッショナルな意識をPPIの人に学んでほしいと思っています。時間やお金を賭けてクオリティが高い物を作れるのは当たり前なんです。
限られた時間とお金の中で、納期に遅れることなく、与えられた環境の中で最高の物を作る!
それが今回のプロジェクトの趣旨だと思います。そして、今後のPPIの課題だと思います。

これは徹夜しろとか毎日12時間~16時間働けと言っているのではありません。むしろ逆です。
限られた時間(8時間~10時間程度の間)で、きっちりとした成果物がだせる努力をしましょう!と言う事を声を大にして言いたいんです。

〆切前になれば多少の残業も発生するでしょう!しかし、普段からそういう意識をもってほしいです。
特に日本の企業の多くは海外のプロダクションと違い、残業や休日出勤しても、何か恩恵がある訳ではありませんから。
しっかりとタイムマネージメントして、自分自身をコントロールできるプロフェッショナルになりたいですね。
そういう意味では、僕もまだまだタイムマネージメントできていない未熟者なので、これからも皆さんと日々精進していきたいですね。
頑張って日本のCG業界を盛り上げていきましょう!!!

残念ながら日本でのTransformers Prime公開は未定ですが、今後のPPIの作り出す作品に期待してください!

2 件のコメント:

  1. 確かに仕事という意味では完全な正論です。

    ただぼくが感じたのはデザイナーの能力を十二分に発揮出来ない環境ってすごくもったいない気がする。
    エンジンのスペックに車体が耐えれないというか、、、。

    そこのバランスをとるのが難しいのはわかってるんですがね。

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  2. >鈴木卓也
    >ただぼくが感じたのはデザイナーの能力を十二分に発揮出来ない環境ってすごくもったいない気がする。

    まさに言うとおりだね。デザイナーがポテンシャルを100%発揮できる現場ってそうそうないと思うけど、やっぱりポテンシャルが発揮できないのは勿体無いよね~。

    いまのPPIだと僕のポテンシャル的には50%ぐらいだね。。。。(^^;
    元々、モデリングやテクスチャーを描くのが早い訳じゃないから、なおさら今のスピード重視の仕事は、僕には不向きかもしれないね~。

    僕も自分のポテンシャルを100%発揮できるというか、自分のポテンシャルだと未熟だという職場でまた修行がしてみたいw
    ま~、ぼちぼち探しますわ~。

    そっちに行けなかったのが残念だけど、次々行かないと!
    僕には時間がないのです!w

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